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私のおこなっているスポーツは「フリースタイルスキー」と呼ばれ、その中に長野オリンピックで有名になった「モーグル競技」も含まれています。
モーグルは脚部の屈伸と伸展を、過激に繰り返すスポーツです。しかも屈伸姿勢は深く、伸展姿勢は高く、運動の振幅は大きく、スピードは猛烈に速い、という厳しい運動を要求されます。そのため身体には強い負荷がかかり、特に膝と腰が受ける衝撃は想像を絶するほど。名選手のほとんどが腰や膝に傷害を抱えています。
ゆっくりとした東洋的運動である吉宮気功体操は、筋力を強くしたり、スポーツに必要とされるスピードアップには結びつかないように思われがちです。バーベルやマシーンを使った、ウェイトトレーニングの方が、一見有効に見えます。しかし、気功体操は「直接的筋力強化」に大きな効果があります。そればかりでなく、競技活動によってダメージを受けた関節、筋肉、腱、靱帯などの修復や正常化にも、大きな力を持っていると考えます。
吉宮式気功体操の効果として次の点を強く感じています。
1.直接的効果として、大腿部の筋力強化
2.直接的効果として、屈伸動作の矯正、改善
3.間接的効果として、腰や膝が受ける疲労の軽減(慢性的な腰痛や膝靱帯の故障の改善)
4.間接的効果として、情緒・感情の安定
第一線で活躍するスポーツマンには故障がつきものです。そして、世界レベルに達しようと望むなら、人間の自然治癒力を無視する過酷なトレーニングが当たり前になっています。吉宮気功体操には重いバーベルを持ち上げて得られるような効果があるだけでなく、『健康を無視したトレーニングに欠けた何かを補い、健康な身体を取り戻す何かを伴っている』そうわたしは確信しています。
ひとつ面白いことがあります。それはモーグルスキーの理想的な屈伸姿勢が、まったく馬歩と同じだということです。これは衝撃を足で受け止め、それを腿の筋肉で処理することのできる姿勢です。この姿勢が少しでも狂うと、スキーヤーは腰や膝を痛めてしまいます。わたしはインストラクターや選手たちに必ず、吉宮先生の馬歩ビデオを見せ、これが理想の屈伸姿勢であると伝えています。すると、ランキングの高い選手、もしくは技術レベルの高い選手であればあるほど、吉宮先生の馬歩にたくさんのものを見ることができます。これはたいへん興味深い現象で、スキーヤーのレベルが下がると、そこに大切な何かを見ることはできません。このことから、人間は自分より下はよく見えても、上のものには気が付かなかったり、理解できないのだと感じています。
もう一つ特筆しておかなければならないのは、第4のポイントです。それはスポーツの競争的・攻撃的な心を、静かで穏やかな状態に戻してくれる精神的効果です。これは実際の身体的トレーニング以上に重要なことかもしれません。
私の気の概念
わたしは腰と膝に大きな故障を抱えながら競技生活を続けてきました。西洋医学的(整形外科的)治療から民間療法まで、たくさんの対策(治療)を重ね、その中でのさまざまな経験から「気」という概念にたどり着きました。
さらにそれは、吉宮先生の指導のもとトレーニングを重ねることで、体感するようになりました。今では自分の身体の内部における「気」の流れや、その滞留なども感じられるようになり、意図すれば他人の気の流れも見えたり、感じたりすることができます。
一般的に気という概念は、現在のスポーツ界では通用しませんが、人間の根元的なメカニズムのひとつだと実感しています。
私は「気」を以下のように捕らえています。
1.呼吸と密接な関係にあるもの
2.血流と密接な関係にあるもの
3. 交感神経と密接な関係にあるもの
4.個(個人)とすべてをつなぐもの
残念なことに現代スポーツの世界では「行きすぎた競争心」や「怒り」「嫉妬」などにより、気が悪い方向に用いられることも多く見られます。そのため、20世紀的な競争スポーツと気功は相性が悪いようにも感じています。しかし、21世紀が進んでくると「調和や個性」という「気を大切にするスポーツ」が盛んになるのではないでしょうか。アクエリアスの時代を目前にして、人類はテロや過当競争という20世紀最後の洗礼を受け、試されてもいます。これを乗り越え、人類の調和に満ちた明るい未来のためにも、人々の間に、吉宮気功体操がより普及することを願っています。
| 角皆優人(つのかい まさひと) |
1955年群馬県生まれ。70年代後半〜80年代半ばにかけ、全日本フリースタイルスキー選手権総合優勝7回。種目別優勝35回。引退後全日本スキー連盟ヘッドコーチを経て、現在『角皆フリースタイルスクール』校長。14年のブランクを経て、2000年に現役復帰。現在、全日本選手権アクロ種目2位、ザイラーバレークロスゲーム優勝。
著書に「モーグル・テクニック・バイブル」「流れ星たちの長野オリンピック」(潮賞受賞作品)など多数。 |
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